おかげでトラブル対応はお手のモノ(前編)
さらに続きです。
……今回も長いです。スミマセン。
昨日(9/20)決めた調べ物を進めます。
まずは同様の被害がないか。
これは市が運営する【迷惑電話対策室(仮)】に電話することで調査することにします。
昨日の会話からすると、あの業者はランダムで電話をかけているようです。
それを考えると、ダメ人間同様、電話に迷惑している人が付近にいるかもしれません。
また、すでに何らかの被害に遭われた方がいるかも……(嫌な想像ですね)。
もしそういった事が聞ければ、何かしらの参考になるのでは、と考えました。
朝のうちに調べておいた【迷惑電話対策室(仮)】へ、貴重な昼休みを使って電話をかけます。
「はい。こちら【迷惑電話対策室(仮)】です」
「あ、すみません、私、ダメ人間と申しますが」
「はい、どういったご用件でしょうか」
「ええと、最近、○○と名乗る業者から、連日、電話をかけられてまして」
「はい」
「かなり迷惑をしているため、その件について、いくつかご相談させていただきたいのですが……」
……実はダメ人間は、電話をかけるのも受けるのも大の苦手です。
例の業者との電話は、自身のテンションが上がっているので、それなりに受け答えできますが、そうでないときは、上記のようにかなり【単語ぶつ切り状態】で会話してしまいます。
「はい、分かりました。ええと、業者の名前は○□でよろしいですか?」
「いえ。違います。『○○』です」
「あぁ……、○○、と……。では、その○○のダメ人間という人から迷惑電話がかかってくると」
「いいえ、違います!『ダメ人間』は私の名前です。○○から私のところに迷惑電話がかかってくるんです」
「あぁ……、そうですか。はい」
……時間にして一分程のやり取りなのですが、なんだか非常に不安になりました。
不安を解消するための相談窓口で、逆に不安にさせられるとは思いもしませんでした。
まぁでも、ぶつ切り状態で話すダメ人間の口調も問題なのだろうと思い、会話を続けます。
「それでですね。その業者からの迷惑電話に対する対処方法とか、類似懸案とか、そういったものについてお聴きできないかと思って電話したのですが……」
「ええと、ダメ人間さん?」
「はい」
「一番の対処はその業者からの電話に出ないことなんですよ」
「ええ。それは分かっているんですが。ただ私も電話に出ないワケには行かない事情がありまして」
これは真面目なお話。
ダメ人間の父親は脳梗塞で倒れ危篤状態になったことがあります。
幸い状態は回復したものの現在も通院をしなくてはならず、いつ何時、何が起こるかわからない状態なのです。
そのため、かかってくる電話は、ほぼ全部出るようにしているのです。
「はぁ、そうですか。……お宅の電話に相手の電話がわかるようなもの、ナンバーディスプレイというんですがね、そういったものは付いてないですか?」
「スミマセン。ウチの電話には付いてないんです」
……ちなみに留守番電話機能も付いてない……。
ダメ人間は一人暮らしを始める際、非常に貧乏だったから……。
電話機も安いやつ(当時2800円)を買ったんだ……。
「ン~、そうですか。……そういう電話がかかってきたら、拒絶の意思をハッキリさせるのがいいと思うんですが」
「それはもう何度もやっているんですよ。『話すことはなにもない』とか『もう電話をかけてくるな』とか」
「はぁ……」
「あとは相手が話している最中でも構わず電話を切ったりとかもしましたが、それでもかけてくるんですよね」
「はぁ……」
「……」
「……」
両者沈黙。
う~ん。相談させてもらっている立場の人間として、あまりこういう事を言いたくはないのですが……、
頼りにならねぇーーーーーーーーーーーー!!
頼むから『はぁ』とか、気の抜けた返事は止めてくれよ!
少なくとも相談者は不安だから電話してるのに、それじゃあ一層不安が増すよ!
……市が運営している性質上、ボランティアに近いモノだから仕方ないのかな……?
とりあえずこのまま沈黙していても仕方ないので、別件を訊いてみることにします。
「あの~、もしもし?」
「はい」
「今言った○○からの迷惑電話、同様の相談とかはなかったですか?」
相談所が持つ守秘義務のため答えてもらえないかとも思いましたが、あっさりと回答が返ってきました。
「『○○』と言う所に関する相談は、今のところ来てませんね」
「ああ、そうですかぁ」
これにはちょっと安心しました。
なにしろあの手の迷惑電話というものは、受け側の神経をすり減らします。
図太く鈍いダメ人間でさえ、あいつらとの対応には精神的に疲れてしまいます。
付近の方々が、そのような大変な苦痛を受けていないと思えるだけで、ちょっとホッとしました。
もちろん、この【迷惑電話対策室(仮)】へ相談が寄せられていないだけで、実際に被害に遭われている方がいらっしゃるのかもしれませんが……。
それでも自分の【目の届く範囲】に被害がなかったことに安堵しました。
「ところで、その○○という業者は、どういった感じで電話してくるんですかね?」
「はい。ええと、最初は住宅に関する現在の市場とか、物件紹介みたいな話をするんですが」
「はい」
「実際に物件を紹介するわけではなくて」
「はい?」
「話を進めるうちに『あなたと一度お会いしたい』みたいな感じになるんですよ」
「えぇっ!?ご住所とか言ってないですよね!?」
「ああ、その点は大丈夫です。向こうはこちらの電話番号しか知らないみたいでしたし」
「まぁ、そうでしょうね。そういうところは大体ランダムで電話してきますから」
へぇ、やっぱりそういうものなのか。
この【迷惑電話対策室(仮)】に電話をかけて、初めて実のある内容が聞けました。
「それで、まぁ、『ご主人の都合の良い時間は?』といった感じで、こっちのことを訊き出そうとしてくるんで、逆に向こうの住所とか電話番号とか訊いたんですけど、答えてくれないんですよね。まぁ、当然といえば当然なんですが」
「はぁ……」
あれ?
また『はぁ……』に戻っちゃったよ……。
もしかして、あきれてます?
「で、その会話の中で『お前んチに押しかけるぞ』といった感じの脅迫めいたことも言われたので、こうやってご相談させていただいてるんですけど」
「う~ん……」
そう言うと、向こうは考え込み始めてしまいました。
考えていただくのは構わないのですが、こちらにも【昼休み】という制限があります。
そこで申し訳ないのですが、せかさせてもらいました。
「あの~、もしもし?こちらも時間があまりないんですが……」
「ああ、スミマセン。あのね、ダメ人間さん。そういった連中の目的はハッキリ言って【金】なんですよ」
「はい」
「先程言われた『押しかける』というのは、まずありえないんです。住所自体分からないでしょうし」
「はい」
「なので、そういう連中がしつこく電話してくるとしたら、それはあなたから『もう少しで金が取れる』と思われている、ということなんですね」
「はい」
「ですから、そういった連中を諦めさせるには、あなたからは金が取れない、どうやっても無理だ、と思わせるしかないんです」
「はい」
「では、そのために何をすればいいかと言えば、やはり、そういった連中を相手にしない、というのが一番なんです」
「はい」
「電話に出ない。出てしまったら即座に切る。かけ直しには応答しない。こういったことが最良なんですね」
「はい」
「向こうから電話を『かけさせない』ようにするのは、ハッキリ言って不可能なんです。ですから、今言ったようなことを、しばらくは大変でしょうが、続けてみてはいかがでしょうか?」
「なるほど」
この時ダメ人間は二つのことを考えました。
一つは、この相談対応者に対する反省と感謝。
『頼りにならない』なんて思ってスミマセン。
相手の事情を聞き、現状を聞き、その上で最良と思われる対処を指示してくれる、立派な応答でした。
本当にありがとうございました。
そして、もう一つは、『やっぱりな』という、どこか諦めにも似た諦観の念です。
確かに対応者の方の案は最良の【対処法】でしょう。
しかしそれは結局、『相手が諦めるのを待つ』という受身の姿勢でしかありません。
例えソレを行ったとしても、連中はダメ人間以外をターゲットに変えるだけなのです。
結局、連中はやりたい放題。
【犯罪はやり得】という、クソッタレな現状を突きつけられた気分でした……。
「わかりました」
「はい。大変だと思いますが、まずはそういった対応をやってみてください」
と、このまま電話を切られそうになってしまいましたが、まだ訊きたいことがあったのを思い出し、慌てて呼びかけます。
「あっ、スミマセン!もしもし!?」
「あっ、はいはい。なんでしょう?」
「スミマセン。最後に一つ教えていただきたいのですが」
「はい」
「向こうが『押しかけるぞ』みたいなことを言ってたんですが、これっていわゆる脅迫には当たらないんですかね?」
「う~ん。それで脅迫というのは難しいと思います」
「そうなんですか……。じゃあ、脅迫と呼べるものってどこいら辺からなんですかね?」
「そうですね。はっきり脅迫と呼べるのは、例えば『お前を殺す』だとか『家に火を点ける』だとか、そういった風に、あなたやご家族の身体や生命、財産に危害を加えることを明確に口にした場合になります」
「はい」
「またどこかの映画やドラマのように、大声で威嚇をした場合も脅迫と捉えることはあるかもしれません」
「あるかもしれません?」
「はい。そういった場合、あなた以外の人がその声を聞き、さらにそれが相手を脅していると判断されなくてはなりません」
「つまり、私個人の印象では無理だと?」
「そうです。そうしないと、例えば喧嘩の際、大声を挙げただけで脅迫したことになってしまいますから」
「なるほど。それは困りますね」
「はい。ですので、いわゆる脅迫というのは、非常に狭い範囲の事しか言わないのだとご理解ください」
「なるほど。分かりました。ありがとうございます」
「はい。それではご質問は以上ですか?」
「はい。お忙しい中、長い時間、ありがとうございました」
「いえいえ。それでは大変だと思いますが、頑張ってください」
「はい。ありがとうございます。失礼します」
「はい、失礼します」
電話を切った後、自席に戻って考えます。
対応者さんの言った対処法は、すでに自覚していることだったのであまり意味はありませんでした。
しかし、会話の中で得られた情報には、いくつか意味がありました。
まず、脅迫に関する事。
結局、『殺す』とか『火を点ける』とか『爆破する』とか言わない限り、脅迫にはなり得ないのです。
なので、昨日の電話で十文字(仮)は『あなたに危害を加えない』ということを明言したのでしょう。
これを明言しておけば、どんなに挑発的でも威圧的でも、脅迫と取られることはないからです。
そして、通話録音の重要性。
例え相手が脅迫を言ったとしても、実際には『言った/言わない』の水掛け論になってしまいそうです。
やはり第三者に判断してもらえる材料が必要でしょう。
もちろん脅迫証明以外のことに関しても、録音は必須のようです。
最後に連中の方向性。
対応者さんがおっしゃっていた「ナンバーディスプレイ機能」のことを考慮するならば、連中は番号非通知で電話をかけているはずです。
こんな物騒な世の中、番号非通知でかけてくるなんて、怪しくって仕方ありません。
しかし、そんな怪しい電話にも出てしまう、良く言えばお人よし、悪く言えば警戒心のない人間を連中は狙っているのでしょう。
警戒心がない(もしくは薄い) = 金を引き出し易い
こういう図式なのでしょう。
これでようやく、あれほど拒絶の意思を明示したにも関わらず、何度も電話をかけてくる理由が見えました。
ダメ人間があっさり電話を受けるから、警戒心がないと思われているんですね。
……。
『ここまで来ないと、それが見えなかったのか?』という問いには、『だってダメ人間ですから!頭の中身が不自由ですから!』と胸を張って答えておくことにします……。
この日は仕事がなかなか終わらず、帰宅が深夜になりました。
家にいない間に電話があったかもしれませんが、前記の通り、ウチの電話には留守番電話機能がないので、その点はどうなのか分かりません。
ただ、今日はもう電話はないだろうと思い、通話録音装置についてゆっくりと調べることにしました。
その辺りの事は、長くなったので、明日以降に続けます。スミマセン。
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